融資の流れと注意点

このページの目的

  • 融資の流れを理解すること
  • 融資の注意点を理解すること

1 融資の流れ

 融資の流れは下の通りです。

融資の流れ

  1. 相談、申込
  2. 必要書類の準備
  3. 面談、審査
  4. 融資実行
  5. 返済

上の流れは、日本政策金融公庫の融資、プロパー融資、信用保証付き融資であっても同じです。

初めて融資を受ける場合は①〜⑤全部をご覧ください。追加融資を受ける場合は、融資の流れは分かっていると思いますので、「2 融資の注意点」の部分だけでもご覧ください。

① 相談、申込

日本政策金融公庫、銀行、信用金庫等の金融機関の支店で融資相談を行います。融資金額、返済条件等、不安なことや事前に確認しておきたいことを相談します。相談時に、会社案内、決算書、事業計画書、資金繰り表など、会社の事業内容や財務数値や担保内容が分かる資料を持参すると、より具体的な相談ができます。

相談した結果、申し込む場合は、申込手続きを行います。

② 必要書類の準備

融資を受ける場合には、金融機関が審査を行うために必要な書類を準備して提出する必要があります。必要資料の中には、金融機関所定のフォーマットを使うように指示されているものもありますので、金融機関の指示に従ってください。

主な必要資料は、下の表の資料ですが、この他にも、例えば、創業予定の場合は創業計画書等、設備融資の場合は見積書や事業計画書等が必要になります。詳しくは、日本政策金融公庫のHP、各金融機関のHP、全国信用保証協会連合会のHPをご覧ください。

金融機関 必要書類
日本政策金融公庫 個人企業
小規模企業

【個人営業の方】
・最近2期分の申告決算書(申告されている方)

 

【法人営業の方】
・最近2期分の確定申告書
・決算書(勘定科目明細書を含みます。)
・最近の試算表(決算後6ヵ月以上経過している場合または事業を始めたばかりで決算を終えていない方)

中小企業 ・会社案内、製品カタログなどの参考資料
・法人の登記事項証明書 ・最新3期分の決算書
・税務申告書
・納税証明書
・最近の試算表(決算月から時間が経っているかた)
・設備投資を行うときは、概要のわかる資料(見積書等)
・担保の内容がわかる資料(登記事項証明書など)
プロパー融資 ・決算書3期分(損益計算書・貸借対照表など)
・試算表
・資金使途明細
・受注明細
・事業計画書
・資金繰り表
・登記簿謄本
・印鑑証明書
・納税証明書
・銀行取引明細書
・確定申告書
信用保証付き融資 ・信用保証委託申込書(保証人等明細)
・申込人(企業)概要
・信用保証依頼書
・個人情報の取扱いに関する同意書
・確定申告書(決算書)
・商業登記簿謄本
・印鑑証明書

【日本政策金融公庫の「お手続きの流れ」】

https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/

【全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」】

https://www.zenshinhoren.or.jp/flow/

② 面談、審査

②の資料をもとに、金融機関担当者との面談があります。

面談では、事業の概況等のヒアリングの他、借りたお金の使徒や返済方針等、書類だけでは分からないことも聞かれます。

審査は、各金融機関によって実施方針や内容が異なり、公表されていませんが、提出された書類や面談をもとに審査をしていきます。また、融資にあたっては、通常、担保を差し入れますので、担保となる不動産の現地調査や担保評価を行います。

審査の期間も各金融機関によって異なりますが、短ければ2週間程度、長ければ1ヶ月半から2ヶ月程度かかる場合もありますので、時間的な余裕を持っておく必要があります。

③ 融資実行

無事審査に通れば、金銭消費貸借契約を締結し、融資実行となります。契約内容を確認して、サインや押印をすることになります。

④ 返済

金銭消費貸借契約書の返済条件に従って、元本と利息を返済していきます。延滞すると、今後の融資にも影響しますので、返済計画をしっかりと立てて返済していくようにしてください。

2 融資の注意点

特に審査の際の注意点をまとめましたので、参考にしてみてください。

① 会社の信用力

金融機関は、提出された書類や面談をもとに審査をしていきます。

審査では、資金繰り表や直近3年分の決算書や直近月の試算表等をもとに収益性や安全性等を評価する「定量評価」と経営者の資質や会社のコアコンピタンスや将来計画などの現時点の数値からは分からないものから評価する「定性評価」があります。

どちらも審査においては、重要な評価指標です。会社の業績が悪いと、これらの評価が低くなり、信用力が低くなりますので、審査が通らなかったり、仮に通ったとしても金利が高くなったりと、不利な返済条件になる可能性があります。

定量評価を高くするためには、強い会社を作って業績を良くする必要があります。強い会社を作るには、管理会計の仕組みを構築する必要があります。会社の信用力を高め、少しでも有利な条件で融資が受けられるように管理会計の仕組みをつくる必要があります。

定性評価を高くするためには、独自性、競争優位性などをしっかり持っておく必要があります。SWOT分析等を通じて、自社の強み弱み、市場の機会脅威を分析して、審査前の面談時にしっかりと説明できるようにしておくことが重要です。

② 資金使途

融資を受ける際には、資金使途を説明する必要があります。また、融資を受けた後は、その資金使途に沿ってお金を使う必要があります。

例えば、海外に子会社がある場合には注意が必要です。金融機関は、親会社で借りたお金が海外に流れていかないかなどを注視しています。親会社で借りたお金が業績の悪い海外子会社に流れて、そのお金が親会社に返ってこなく、金融機関へ返済できないケースはよくあります。

この点、お金に色がついている訳ではないですので、海外子会社にお金が流れているのか確認するのは難しいですが、例えば、海外子会社の業績が悪く、現地での借り入れができないような場合には、「融資を受けたお金が海外子会社に流れる可能性があるのでは?」と思われてしまう場合もあります。

また、親会社で融資を受ける直前に海外子会社に貸付を行っていたりすると、「この融資は海外子会社の貸付の補填のために行なっているのでは?」と思われてしまう場合もあります。

このため、資金使途は、変な疑念を持たれないように、しっかりと説明できるように準備しておきましょう。

③ 事業計画

金融機関は、決算書に基づく現時点の数値だけでなく、将来にも目を向けて審査していきます。将来を見る材料として、事業計画を確認します。金融機関の審査を通すために、バラ色の事業計画を作成する会社は多いです。

金融機関が見るポイントは、事業計画の実現可能性です。実現可能性は、数値的な根拠もってしっかりと説明する必要があります。

例えば、製造業の場合には、生産予想台数の分かるフォーキャストなどで実現可能性を説明することが考えられます。実現可能性のない計画では、審査に通らない可能性もありますので、事業計画の数値の根拠をしっかり説明するようにしましょう。

融資を受けやすくするためには、信用力を高めることが重要です。信用力を高めるには、会社を強くして業績を良くすることが重要です。

当事務所では、会社を強くして、業績の改善を図るための管理会計の仕組みを構築するサポートをしています。また、事業計画書の策定においても、金融機関の見るポイントを考慮して策定しますので、まずはお気軽にお困りごとや不安なことをご相談ください。

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