資金調達の方法〜ポイント〜

このページの目的

  • 資金調達のポイントを理解すること
  • 資金調達で気をつけることを理解すること

1 資金調達のポイント

① 最適な資金調達の方法を選ぶ

資金調達には、万能な方法はありません。どの方法もメリットとデメリットがあります。資金調達のメリットとデメリットを考慮し、数ある資金調達の方法の中から、最適な方法を選ぶことがポイントです。

  メリット デメリット
株式発行

・返済不要の資金調達方法のため、長期的な視点で会社経営ができる。

・安全性の指標である自己資本比率が高くなるため、財務体質の強化が図れる。これにより、対外的な信頼性が高まる。

・対外的な信頼性が高まることで、融資を受けやすくなり、他の資金調達の方法も機動的に行える。また、取引先の与信調査も通りやすくなる。

・株式発行には会社法に定める手続きが必要のため、手続きが複雑かつ煩雑になる。

・第三者割当増資や公募増資の場合、既存株主の持株比率が変動し、議決権が弱まるため、既存株主への配慮が必要となる。

・公募増資の場合、不特定多数の株主が入ってくるため、経営の機動性が損なわれる(すぐに決めれることも決められなくなる)。

・常に株主の要求に応える経営をする必要があり、株主利益最大化の経営になりがちのため、諸々の意思決定が必ずしも会社の成長発展に結び付かないこともある。

融資

・融資を受けるのに会社法等の縛りがなく、手続きが簡単

・プロパー融資だけでなく、制度融資や日本政策金融公庫の融資や信用保証付き融資など多様な選択肢がある。

・困ったことなどを身近な金融機関担当者に聞ける。

・株式発行と異なり、融資しても金融機関に議決権は付与されないため、経営権に影響がない。

・社債発行と異なり、返済の延滞をしても即座にデフォルトになるわけではない。

・会社の信用力が低いと審査に通りにくい。

・元本と利息の毎月の返済が必要のため、返済不能とならないように常に資金繰りを意識しないといけない。

・業績が悪くなると、定期的にバックミーティングを開催し、金融機関への業績等の報告が必要になる。また、金融機関が経営に介入する場合もあるため、金融機関主導の経営になる可能性がある。

社債発行

・返済義務のある負債であるが、期日一括償還など償還方法を決められるため、有用な資金運用ができる。

・株式発行と異なり、社債発行しても社債引受人に議決権は付与されないため、経営権に影響がない。

・社債発行には会社法に定める手続きが必要のため、手続きが複雑かつ煩雑になる。

・償還日には必ず償還する必要があり、期日までに償還できないとデフォルトになる。

・金利は会社の信用力や償還期間に左右される。金利は、信用力が低いと高くなり、償還期間が長いと高くなることが一般的。

② 根拠のある事業計画書をつくる

会社外部から資金を調達してくるわけですので、会社の信用力がないと誰もお金を貸してくれません。常に信用力を高めるために、業績を伸ばしていく必要があります。

仮に、赤字決算となった場合でも、根拠のある事業計画書を作成し、黒字化や将来の成長性のロードマップをしっかりと説明できれば、資金調達できる場合もあります。反対に事業計画書を作成しても成長性の根拠を示せなければ、資金調達は難しくなります。

根拠のある事業計画書を作成することが資金調達のポイントです。

③ 金融機関融資の審査のポイント

金融機関は、融資の際、提出された書類や面談をもとに審査をしていきます。審査では、資金繰り表や直近3年分の決算書や直近月の試算表等をもとに収益性や安全性等を評価する「定量評価」と経営者の資質や会社のコアコンピタンスや将来計画などの現時点の数値からは分からないものから評価する「定性評価」があります。

どちらも審査においては、重要な評価指標です。会社の業績が悪いと、これらの評価が低くなり、信用力が低くなりますので、審査が通らなかったり、仮に通ったとしても金利が高くなったりと、不利な返済条件になる可能性があります。

定量評価を高くするためには、強い会社を作って業績を良くする必要があります。強い会社を作るには、管理会計の仕組みを構築する必要があります。会社の信用力を高め、少しでも有利な条件で融資が受けられるようにしっかりと管理会計の仕組みをつくることがポイントです。

定性評価を高くするためには、独自性、競争優位性などをしっかり持っておく必要があります。SWOT分析等を通じて、自社の強み弱み、市場の機会脅威を分析して、審査前の面談時にしっかりと説明できるようにしておくことがポイントです。

2 資金調達で気をつけなければならないこと

① コンプライアンス違反

株式発行や社債発行は、会社法に定められた手続きに沿って行う必要がります。会社法の手続きに沿って行わないと、会社法違反になりますので、気をつけなければなりません。

株式発行や社債発行は、会社法が関係してくるため、金融機関融資に比べると手続きが複雑かつ煩雑です。そのため、ケースによっては、お金がかかっても弁護士や公認会計士等の専門家に相談することが重要です。

② 資金繰りの管理

資金調達は資金を調達する段階だけでなく、資金を調達した後の管理も重要です。株式発行を除いては、お金を返済していく必要がありますので、返済が滞ることのないように気をつけなければなりません。

返済が滞ると、次の資金調達が難しくなります。そのため、常に資金繰り状況を把握できる資金繰り表を作成し、定期的にチェックすることが重要です。

資金繰り管理は、「キャッシュフローを見える化する必要性と資金繰り管理の方法」のページでも紹介していますので、ご覧ください。

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