このページの目次
このページの目的
- 部門別の損益管理の概要・必要性を理解する
- 部門別の損益管理に役立つ損益計算書を理解する
1 部門別の損益管理とは
損益計算書や貸借対照表は、通常全社で1つですが、多くの会社は、単一の事業だけではなく、複数の事業を展開しています。
例えば、エンジンを作っている部門と車体を作っている部門のある会社が、全社的に赤字になった場合、それぞれの部門ごとに損益管理できる仕組みがないと、両方の部門から赤字が発生しているのか、それとも、どちらかの部門は黒字で、もう一方の部門が赤字なのかということすら分かりません。
黒字の部門と赤字の部門とでは、戦略や対応策も違いますので、会社がとるべき戦略や対応策が立てられないということになります。
黒字の部門では、業績の現状維持やもっと伸ばすといった戦略が採られるでしょうし、赤字の部門では、赤字を解消するための対応策や撤退するという戦略が採られるでしょうから、部門別の損益管理の仕組みがなかったり、損益管理の方向が間違っていると、赤字の部門を黒字と誤認して、赤字を垂れ流しのままにするといったことが起き、経営判断を間違えてしまいます。
全社の損益管理はしているが、部門ごとの損益管理まで行き届いていないという会社は意外に多いです。部門別の損益管理の仕組みは、複数の事業を展開している会社が、どこでどれだけの利益が出ているのか、損失が出ているのかを見える化し、経営判断を誤らせないために必要です。
また、管理会計の分野では、組織とその責任者に配分された責任に着目し、ある範囲の責任を負う組織単位を責任センターといいますが、各管理者は責任センターごとに責任に対する業績の評価が行われるべきです。各部門はこの責任センターに該当しますので、部門別の損益管理の仕組みは、部門別の業績評価を行うためにも必要です。
2 部門別の損益管理に役立つ損益計算書
部門別の損益管理は、経営判断を誤らない、部門別の損益改善を可能にする、部門別の業績評価を行うために必要です。では、損益計算書もこれらを可能にする損益計算書である必要があります。
「本当に必要な管理会計の仕組みを構築するメリット」のページでも解説したように、変動費と固定費とでは、費用の管理方法が異なりますが、従来の財務会計ベースの損益計算書では、売上原価と販管費のそれぞれに変動費と固定費が混在してしまっているため、例えば、部門別に原価改善を行う場合には不都合です。
そこで、部門別の損益管理の場面でも、変動費と固定費を分けた損益計算書を使います。
A部門 | B部門 | C部門 | 本社費用 | 全社 | |
売上高 | 1,000 | 650 | 1,600 | 3,250 | |
− 材料費 | 500 | 470 | 900 | 1,870 | |
− 変動労務費 | 80 | 60 | 120 | 260 | |
− 外注加工費 | 40 | 40 | 50 | 130 | |
− 外注物流費 | 30 | 20 | 50 | 100 | |
=付加価値 | 350 | 60 | 480 | 890 | |
− 固定労務費 | 40 | 25 | 60 | 200 | 325 |
− 減価償却費 | 90 | 70 | 120 | 50 | 330 |
− 事業資金の金利 | 40 | 40 | |||
=利益 | 220 | -35 | 300 | -290 | 195 |
3 部門別の損益管理の流れ
詳細は、「部門別損益管理の方法と注意点」のページで解説しますが、部門別の損益管理の流れは下のようになります。
- 各部門に割り当てる売上高、変動費、固定費の範囲を明確にする
- 各部門の目標付加価値を決定する
- 目標付加価値を達成するためのアクションプランを立てる
- 予実分析を行い、随時アクションプランの見直しを行う
4 当事務所に依頼するメリット
多くの会社が単一の事業ではなく、複数の事業に取り組んでいますが、こうした会社を存続させ、さらには、強い会社を作るためには、継続的に部門別の損益管理ができる仕組みをつくることが必要です。
人手不足による人的・時間的制約から、これらを自社内のリソースで取り組むことには、限界があります。
また、これらは継続的に取り組むことに意味がありますので、いったん自社内で取り組んだとしても、途中で方向性が分からなくなることや、退職や人事異動により取り組める人がいなくなるということがあり、結局途中で断念してしまい、今までかけてきた様々なコストが無駄になる可能性があります。
当事務所では、部門別に上図の変動費と固定費を見える化した損益計算書を提案していますが、貴社のビジネス及び財務内容を理解して、貴社に合った管理会計用の損益計算書の作成づくりをサポートします。
管理会計用の損益計算書は、財務会計用の損益計算書とは異なり、自社の管理しやすいようにカスタマイズすることが可能です。貴社に合った管理会計用に損益計算書をつくることが継続的な原価改善をしていくスタートです。
そこで、貴社に合った管理会計用に損益計算書づくりのサポート及び継続的に業績改善できる仕組みづくりのサポートをしていきます。
まずは、不安なお気持ちや今困っていることをお気軽にご相談ください。