このページの目次
このページの目的
- マーケティングの概要を理解する
- マーケティングの重要性を理解する
- マーケティングの種類を理解する
- マーケティングのメリット・デメリットを理解する
- マーケティングでの重要なポイントを理解する
1 マーケティングとは
マーケティングとは、商品やサービスが売れる仕組みを作ることをいいます。会社目線に立った「売り込む方法」ではなく、顧客目線に立った「売れる仕組みづくり」のことをいいます。
ドラッカーは、「マーケティングの最終目標は、セリングを不要にすることである」と述べています。これは顧客志向に立った考え方です。
顧客ニーズに合った商品やサービスを開発し、顧客が妥当だと感じる価格を設定し、その商品やサービスの特性を顧客に伝え、その商品やサービスに相応しい流通チャネルを選べば、売り込みをしなくても顧客は自らその商品やサービスを手に入れようとするという考え方です。
セールスとマーケティングの違い
ドラッカーの言葉通り、セールスとマーケティングは違います。
セールスとは、顧客に商品やサービスの売り込みを行うことをいいます。
マーケティングとは、商品やサービスが売れる仕組みをつくることをいいます。マーケティングは、セールス(売り込み)を行わなくても、顧客が商品やサービスを買ってくれる仕組みをつくる活動のことです。
2 マーケティングの重要性
顧客のニーズが多様化していますので、会社が作りたいものを作って、売りたいものを売るという経営スタイルでは、商品やサービスは売れなくなってきました。
顧客に商品やサービスを購入してもらうためには、「顧客は何を求めているのか」、「顧客はどんな問題を抱えているのか」といった、顧客が頭の中で考えていることにアプローチする必要があります。
そのためには、顧客をリサーチして良く知り、顧客の願望を満たす商品やサービス、抱えている問題を解消する商品やサービスをつくり出し、ターゲットとする顧客にリーチすることが重要です。
この活動がマーケティングであり、顧客ニーズが多様化しているからこそ重要性が増してきています。
3 マーケティングの種類
マーケティングの主な種類は、「マスマーケティング」、「ダイレクトマーケティング」、「インバウンドマーケティング」が挙げられます。
① マスマーケティング
マスマーケティングは、広く一般消費者を対象として、商品やサービスのプロモーションを行うマーケティング方法です。
マスマーケティングには、テレビCM、ラジオCM、新聞広告や雑誌広告などが効果的です。
② ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングは、会社と消費者が双方向に直接コミュニケーションをとり、商品やサービスのプロモーションを行うマーケティング方法です。
マスマーケティングは、広く一般消費者を対象としているのに対して、ダイレクトマーケティングは、あらかじめ消費者を絞り込み、絞り込んだ消費者を対象としています。そのため、マスマーケティングとでは、プロモーションの方法も利用する広告媒体も違います。
ダイレクトマーケティングには、ダイレクトメール(DM)やメール配信などが効果的です。
③ インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングは、見込み客が関心を持つ情報や課題解決に役立つ情報を提供して、それらの情報につながる商品やサービスのプロモーションを行う方法です。
インバウンドマーケティングでは、SEO、ブログ、ソーシャルメディアなどで有益な情報を提供していくことになります。
4 マーケティングのメリット
マーケティングの種類ごとにメリットを紹介します。
① マスマーケティング
より多くの消費者を顧客化できる
マスマーケティングは、テレビCMや新聞広告などを通じて、多くの消費者にアプローチできますので、より多くの消費者を顧客化できるというメリットがあります。
潜在的な見込み客にもアプローチできる
消費者は、テレビCMや新聞広告などにより、繰り返し商品やサービスを目にすることになりますので、当初は購買意欲がなかった潜在的な見込み客に対して、徐々に購買意欲を湧かせるというメリットがあります。
② ダイレクトマーケティング
費用対効果が高い
ダイレクトマーケティングは、商品やサービスに興味を持っている消費者をあらかじめ絞り込んでおいて、絞り込んだ消費者に対して、DMやメール配信などを行いますので、広告費に対する効果が高くなるというメリットがあります。
そのため、広告費に多額の資金をかけられない中小企業でも採りやすいマーケティングの方法です。
効果測定ができる
ダイレクトマーケティングは、ある消費者を顧客化するのにいくらの広告費をかけたのか、どの広告媒体から顧客化できたのかを測定することができますので、今後の広告やプロモーションの内容を改善していくことが容易であるというメリットがあります。
安定した収入を期待できる
安定した収入を得るためには、既存の顧客が継続してリピートしてくれる必要があります。ダイレクトマーケティングでは、いったん見込み客を顧客化できれば、会社と顧客との双方向のコミュニケーションにより、リピート購入の可能性を高めることができます。
③ インバウンドマーケティング
売り込み感がなく、受け入れられやすい
インバウンドマーケティングは、見込み客が関心を持つ情報や課題解決に役立つ情報を提供しますので、売り込み感がなく、受け入れられやすいというメリットがあります。
効果測定ができる
インバウンドマーケティングは、自社のWebサイトやメディアに関心のある見込み客が訪れるため、分析ツールを利用することで、訪問者の行動を分析することができます。
これによるデータ分析を今後のマーケティング活動に役立てられるというメリットがあります。
5 マーケティングのデメリット
マーケティングの種類ごとにデメリットを紹介します。
① マスマーケティング
多くの広告費を必要とする
マスマーケティングは、広く一般消費者を対象に、テレビCMや新聞広告を利用しますので、顧客化できない消費者にも多額の広告費を利用することになります。多額の広告費がかかるため、中小企業では手を出しにくく、主に大企業が採るマーケティングの方法です。
効果測定ができない
マスマーケティングでは、ある消費者を顧客化するのにいくらの広告費をかけたのか、どの広告媒体から顧客化できたのかを測定することができないため、今後のマーケティング活動に必要なデータを入手することが難しいというデメリットがあります。
② ダイレクトマーケティング
効果が出るまで時間がかかる
ダイレクトマーケティングは、顧客と双方向のコミュニケーションをとるため、信頼性の構築が必要な方法です。
商品やサービスに興味を持っている消費者をあらかじめ絞り込んでおいて、絞り込んだ消費者に対して、広告をうっていくわけですが、新規の顧客獲得の場合、消費者は、通常あなたの会社のことを知らないですので、信頼性の構築に時間がかかります。
そのため、効果が出るのに時間がかかるというデメリットがあります。
③ インバウンドマーケティング
効果が出るまで時間がかかる
見込み客に自社のWebサイトなどを見つけてもらう必要があり、見つけてもらうのに時間がかかるため、効果が出るのに時間がかかるというデメリットがあります。例えば、SEO検索では、公開後すぐに上位表示されるわけではなく、上位表示されるには、相応の時間がかかります。
継続的な発信と改善が必要
インバウンドマーケティングでは、見込み客に有用な情報を提供するマーケティングの方法ですので、継続的に情報を提供し続ける必要があります。また、SEO検索時に上位表示させるためには、継続的にWebサイト等の改善が必要になります。
メリット | デメリット | |
マスマーケティング | ・より多くの消費者を顧客化できる ・潜在的な見込み客にもアプローチできる |
・多くの広告費を必要とするため中小企業は手を出しづらい ・効果測定ができないため、払った広告費を今後のマーケティング活動に活かせない |
ダイレクトマーケティング | ・費用対効果が高い ・効果測定ができるため、払った広告費が今後のマーケティング活動に活かせる ・安定した収入を期待できる |
・効果が出るまで時間がかかる |
インバウンドマーケティング | ・売り込み感がなく、受け入れられやすい ・効果測定ができるため、払った広告費が今後のマーケティング活動に活かせる |
・効果が出るまで時間がかかる ・継続的な発信と改善が必要 |
6 マーケティングでの重要なポイント
中小企業では、マスマーケティングは多額の広告費を必要としますので、実践することが難しいかもしれません。
一方、ダイレクトマーケティングやインバウンドマーケティングは、マスマーケティングに比べると、少額の予算で実施可能ですので、ここでは、ダイレクトマーケティングとインバウンドマーケティングの重要なポイントを紹介します。
① 1人の見込み客像をつくる
ダイレクトマーケティングやインバウンドマーケティングでは、商品やサービスを買ってもらう見込み客像をつくる時、マス(一般大衆)でつくるのではなく、理想の1人の人物像でつくることがポイントです。理想の1人の人物像は、マーケティング用語で「ペルソナ」と呼ばれています。
ペルソナをつくる際には、想像してつくるのではく、理想とする人にヒアリングしてつくることが重要です。
例えば、下のようなことをヒアリングしていきます。
- 当然と思っていることは何か?
- 購入してもらおうとする商品やサービスに対する思い込みは何か?
- 今、持っている不安で一番強いものは何か?
- 何が不安で夜も眠れないか?
- 今、一番解決したいことは何か?
② フロントエンド商品とバックエンド商品をつくる
ビジネスを大きくしていくためには、新規顧客を獲得して、その顧客を育てていくことが重要です。フロントエンド商品は、新規顧客を獲得するのに役立ち、バックエンド商品は、顧客を育てていくのに役立つ商品です。
フロントエンド商品は、まだ顧客になっていない見込み客に対して売る商品で、集客のための商品になります。フロントエンド商品は、広告費をかけて販売することが多いですが、ポイントはフロントエンド商品で欲を出して利益をとらないようにするということです。
フロントエンド商品の目的は顧客獲得ですので、出た利益のほとんどは広告費に回して、どんどん顧客を獲得していきます。フロントエンド商品は、粗利率8割で、その全てを広告費に回すことが理想です。
反対に、バックエンド商品は、フロントエンド商品で集めた顧客に購入してもらい、利益を出すための商品です。フロントエンド商品とは違い、利益額の最大化が目的ですので、フロントエンド商品のように、利益の全てを広告費に回すことはしません。
バックエンド商品は、新規の顧客ではなく、既存客に販売する商品です。既存客に何度もリピート購入してもらえるように、バックエンド商品を既存客にとって価値あるものにすることがポイントです。
まとめ
当事務所では、原価改善等の管理会計の仕組みづくりのサポートだけでなく、中小企業の事業支援の一環として、マーケティングのアドバイザリー業務も提供しています。ペルソナ像の考え方やフロントエンド商品、バックエンド商品のアイディアの出し方など、マーケティングの基本的な考え方のアドバイスをしています。
また、代表者である私は、IMA(Internet Marketing Analyst)検定の認定ホルダーです。
お困りごとや不安なことなど、お気軽にお問い合わせください。