原価管理・原価改善業務について

このページの目的

  • 原価管理の必要性とメリットを理解する
  • 原価改善・原価企画に役立つ損益計算書を理解する
  • 原価改善業務の流れを理解する

1 原価管理(原価改善・原価企画)の必要性とメリット

原価管理には、原価改善と原価企画の2つがあります。原価改善は、量産体制に入った後で行う継続的な原価低減活動です。

一方、原価企画は、原材料費、労務費、経費といった原価の発生源流である製品の量産体制に入る前の企画・開発・設計段階まで遡って、原価の作り込みを行い、原価の抜本的な引き下げを行うことです。

前者の原価改善をしっかりと実施している会社は少ないのが現状です。また、原価改善は、これまでは、製造業や飲食業を中心に実施されてきましたが、サービス業など他の業種であっても改善すべき原価はあるはずですので、原価改善を行うメリットは十分にあります。

原価改善では、原価の目標値を決めて、その目標値と実績値を比較して、目標値<実績値であれば、その差異原因を分析して、原価の低減を図ることになります。

原価改善は、自社内だけで行うイメージが強いですが、昨今、資源価格の高騰により、原材料費の単価が上昇していますので、原材料をまとめ買いして価格交渉による原材料費の低減などサプライヤーも巻き込んで原価低減活動をする必要も出てきます。自社内だけでなく、社外の協力も得ながら、継続的な原価改善を行っていく必要があります。

一方で、いったん量産体制に入ってしまうと、これ以上標準化できないといった原価改善の限界の壁に当たることもあります。この場合、より良い原材料を使ったり、工程の見直しをしたりと製品の再設計をすることにより、原価を低減できる場合もあります。つまり、量産体制に入る前の原価企画が必要になる場合もあります。

定義

原材料費

製品を作るために購入した部品などにかかる費用が該当します。

労務費

製品を作るための工員への給与などにかかる費用で、直接製品を作っている製造部門の従業員やアルバイトやパートへの給与のほかに、生産ラインを指揮する工場長などの管理職の従業員への給与、非製造部門の従業員への給与も含まれます。

経費

消耗品など工場内外を問わず、会社を運営していくために必要となる諸々の費用が該当します。

ここでいう原価は、工場内の製造部門で発生する費用だけでなく、工場外の非製造部門(総務部、経理部、営業部など)で発生する費用も含めて原価としています。詳細は、下の「2 原価改善・原価企画に役立つ損益計算書」をご参照ください。

2 原価改善・原価企画に役立つ損益計算書

原価改善・原価企画のための前提となる損益計算書を紹介します。効果的な原価改善・原価企画をするためには、効果が出るための損益計算書が必要です。原価改善・原価企画は、管理会計の一部です。

管理会計は、財務会計とは違い、内部の人に対して有用な情報を提供する会計ですので、内部の人が理解しやすいようにカスタマイズすることが可能です。「本当に必要な管理会計の仕組みを構築するメリット」のページでも解説したように、従来の財務会計ベースの損益計算書ではいくつかの不都合があります。

例えば、従来の財務会計ベースの損益計算書では、変動費と固定費が区分されていません。変動費と固定費は費用の管理方法が違うため、費用を変動費と固定費に分ける必要があります。

さらに、「売上原価=変動費、販管費=固定費」ではないため、費用の管理方法が異なる変動費と固定費がそれぞれ売上原価と販管費に混在しています。このため、従来の財務会計ベースの損益計算書では、適切な費用管理ができないという問題がありました。

これを克服したのが、下図の変動費と固定費を見える化した損益計算書です。この損益計算書は、原価改善や原価企画の時にも活躍する損益計算書です。

図 変動費と固定費を見える化した損益計算書

売上高 1,000
− 材料費 480
− 変動労務費 60
− 外注加工費 40
− 外注物流費 30
− 在庫金利 10
=付加価値 380
   
− 固定労務費 100
− 減価償却費 90
− 事業資金の金利 20
=利益 170

3 原価改善業務の流れ

  1. ビジネス理解、財務分析により、コストの中身を理解します。
  2. コストを変動費と固定費に分けます。
  3. 製品の標準原価(目標値)を設定します。
  4. 変動費と固定費を見える化した損益計算書を使って、実績額と標準原価の差異を分析し、何が原因で予算オーバーしたのか把握します。
  5. 原価改善策の提案をします。

原価改善の方法(上の②③④)や原価改善の事例(上の⑤)も他のページで紹介していますので、ご覧ください。

【原価改善の方法】
原価改善の代表的な手法・方法

【原価改善の事例】
原価改善(原価低減)の事例と原価改善をおすすめするケース

4 当事務所に依頼するメリット

会社を存続させ、さらには、強い会社を作るためには、継続的な原価改善の仕組みが必要です。人手不足による人的・時間的制約から、これらを自社内のリソースで取り組むことには、限界があります。

また、これらは継続的に取り組むことに意味がありますので、いったん自社内で取り組んだとしても、途中で方向性が分からなくなることや、退職や人事異動により取り組める人がいなくなるということがあり、結局途中で断念してしまい、今までかけてきた様々なコストが無駄になる可能性があります。

当事務所では、上図の変動費と固定費を見える化した損益計算書を提案していますが、貴社のビジネス及び財務内容を理解して、貴社に合った管理会計用の損益計算書の作成づくりをサポートします。

管理会計用の損益計算書は、財務会計用の損益計算書とは異なり、自社の管理しやすいようにカスタマイズすることが可能です。貴社に合った管理会計用に損益計算書をつくることが継続的な原価改善をしていくスタートです。

貴社に合った管理会計用に損益計算書づくりのサポート及び継続的に原価改善できる仕組みづくりのサポートをしていきます。

まずは、不安なお気持ちや今困っていることをお気軽にご相談ください。

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