部門別損益管理を行うメリット・デメリット

このページの目的

  • 部門別の損益管理のメリットとデメリットを理解する

複数の事業を展開している会社が部門別の損益管理を行うことによるメリットとデメリットを解説していきます。全社でしか損益管理してない場合や適切な部門別損益管理ができていない場合は、導入や改善をする際の参考にしてみてください。

1 部門別損益管理のメリット

① 正しい経営判断ができる

部門別の損益管理を行うことで、各部門の損益、利益状況が明確になります。これにより、儲かっている部門が実施すべき対応策、儲かっていない部門や赤字の部門が実施すべき対応策を立てることができるようになります。

つまり、赤字の部門を黒字と誤認して、赤字を垂れ流しのままにするという判断ミスを防ぐことができるようになります。正しい経営判断を行うためのツールとして、部門別の損益管理は役に立ちます。

② 責任の範囲を明確にして、全社目標の達成を期待できる

部門別の損益管理を行うことで、部門長などの管理者の責任範囲が明確になります。

各部門の管理者は経営トップから与えられたミッションや収支に責任を負いますが、部門別の損益管理の仕組みがないと、各部門の管理者が負う責任の範囲が不明確になり、結果として、会社としてのミッションや利益目標が達成できないことになります。

管理者の責任の範囲を明確にして、全社目標を達成するためのツールとして、部門別の損益管理は役に立ちます。

③ 早いタイミングで対応策を打てる

部門別の損益管理を行うことで、業績の良い部門、悪い部門が見える化されます。予算と実績値との比較分析や前年同期の実績値との比較分析を部門ごとで行うことにより、各部門の順調なタスク、修正が必要なタスクを機動的に早いタイミングで把握することができるようになります。

修正が必要なタスクについて、全社で分析するよりも早いタイミングで対応策を打てるようになりますので、そのツールとして、部門別の損益管理は役に立ちます。

④ 部門間の競争意識が生まれる

部門別の損益管理を行うことで、各部門の利益予算が明確になります。各部門の利益予算を明確にすることで、各部門のメンバーはそれぞれ、利益向上のための最適な行動をとることができようになります。

利益予算を達成した場合の業績評価の仕組みと合わせることによって、部門間での競争意識が生まれ、さらなる収益性向上や生産性向上のスパイラルを期待できるようになります。部門間での競争意識を持たせ、さらなる収益性や生産性向上のツールとして、部門別の損益管理は役に立ちます。

⑤ 従業員にも経営的な視点を養わせることができる(次世代の経営者を育てられる)

部門別の損益管理を行うことで、部門ごとに損益状況を見える化できますので、各部門で働く従業員にも利益に対する予算達成への意識を持たせることができます。

つまり、収益の予算達成だけでなく、コスト管理にも意識を向かせることができ、付加価値を高めるための施策を考えさせることができるようになります。

このように、従業員に日頃から各部門の損益を業務として把握させることにより、経営的な視点を養わせることができるツールとして、部門別の損益管理は役に立ちます。

⑥ 資源配分が容易になる

部門別の損益管理を行うことで、自社のどの部門の業績が良いのか、悪いのか見える化することができますので、業績の悪い部門のヒト・モノ・カネといった重要なリソースを他の部門に割り当てることができるようになります。

リソースは無限に存在するわけではないですので、会社の限られたリソースを最適に配分するためのツールとして、部門別の損益管理は役に立ちます。

⑦ 上場を目指す場合には必須管理となる

上場会社には、セグメント別の開示や固定資産の減損会計が必須となります。例えば、飲食業と小売業を展開している会社の場合、飲食業のセグメントと小売業のセグメントに損益状況を分けて有価証券報告書で開示する必要があります。

また、飲食業を展開している会社は、通常、多店舗展開しているケースが多いですので、固定資産の減損会計にあたって、各店舗の損益状況の把握は必須となります。

上場を目指す場合には、適切な会計基準の適用が求められますので、そのツールとして、部門別の損益管理は役に立ちます。

2 部門別損益管理のデメリット

① 計算が煩雑になる

部門別損益管理は、売上高や変動費、固定費を各部門に割り当てるわけですが、各部門への割り当ては、どこまで厳密に実施するか議論になりがちです。

すべての売上高や変動費、固定費をしっかりと各部門に割り当てられれば、それに越したことはないですが、それには相当の時間がかかりますし、計算も複雑になり、割り当てられた数値は属人的なものになりがちです。

このため、各部門への割り当ての簡単さ明確さと金額的重要性の観点から割り当てることになります。この点については、「部門別損益管理の方法と注意点」のページでも解説しますので、そちらのページもご覧ください。

部門別損益管理をしない場合は、全社の損益管理だけでよかったのが、部門別損益管理をする場合は、各部門への収益費用の割り当てが必要になりますので、計算が煩雑になるというデメリットがあります。

まとめ

部門別損益管理の導入にあたり、弊害になるのは、計算が煩雑になるというデメリット以外にも導入に係る時間と費用です。何をするにしても時間と費用はかかるものです。

しかし、部門別損益管理は、デメリットを超える多くのメリットがありますので、時間と費用をかけて取り入れる価値はあります。ぜひ参考にしてみてください。

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