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このページの目的
- 社債発行の概要を理解すること
- 社債発行の種類を理解すること
- 社債発行のメリット・デメリットを理解するとこ
1 社債発行とは
社債発行とは、会社が社債を発行して投資家から資金を集める資金調達の1つの方法です。社債は株式と違い、会社は投資家に対してお金を返済する義務があります。
お金を借りている間は利息を払い、決められた期日を迎えたら元本を返済します。このため、社債は発行すると、貸借対照表では負債として計上されることになります。
社債発行は、返済義務のある負債という意味では、融資と同じです。また、投資家から直接資金を集める直接金融という意味では、株式発行と同じです。
2 社債発行の種類
社債は、公募債と私募債があります。私募債はさらに、プロ私募債、少人数私募債、銀行引受私募債に分かれます。
種類ごとの社債の特徴は以下の通りです。
公募債 | プロ私募債 | 少人数私募債 | 銀行引受私募債 | |
発行市場 | 市場に情報公開する | 市場に情報公開されない | 市場に情報公開されない | 市場に情報公開されない |
募集人数の制限 | 制限なし | 制限なし | 制限あり 50人未満 | 制限なし |
有価証券報告書の提出義務 | 提出義務あり | 提出義務なし | 提出義務なし | 提出義務なし |
社債管理者の設置義務 | 設置義務あり 銀行や信託会社など会社法で定められた者が社債管理者となる |
設置義務なし | 設置義務なし | 設置義務なし |
事例 | 広く一般投資家を募る | 銀行や信用金庫、証券会社をはじめとした機関投資家に発行 | 経営者の親族、友人、取引先などに買い受けてもらうケースが多い | 銀行が私募債を買い付けて、投資家へ販売する |
3 社債発行のメリット
社債発行のメリットを他の資金調達の方法と比較して解説します。
① 資金運用に効果的な返済が行える
社債の償還は、半年おきや1年おきなどの定期償還のケースや満期に一括で償還できる一括償還のケースなどがあります。
融資の場合は、毎月返済していくケースが多いですので、資金の運用を効果的に進める上で弊害になる場合もありますが、社債の償還は毎月である必要はないですので、資金運用を効果的に進めることが可能です。
② 株式発行と比較してコストが安い
会社が倒産した場合の弁済は、株式よりも社債の方が優先されます。株主は社債引受人よりもリスクを負っていますので、より高いリターンを要求することになります。このため、一般的に株主へのコストは高いと言われています。
③ 経営権に影響がない
株式の場合は、株式の保有数に応じて会社の経営に参画する議決権が与えられます。株主は、議決権を行使することで、経営の意思決定にも影響を及ぼすことができます。
しかし、社債発行はあくまでも借り入れであり、社債引受人に議決権は付与されません。そのため、社債引受人は経営の意思決定には影響を及ぼしません。
4 社債発行のデメリット
社債発行のデメリットを他の資金調達の方法と比較して解説します。
① 返済義務がある
社債はあくまでも、社債引受人からの借り入れであり返済義務があります。
株式発行の場合、株主に対して返済義務はありません。また、融資の場合、業績が悪化していれば、金融機関に相談して元本返済を遅らせてもらうことも可能です。
しかし、社債の場合は、定められた償還日に償還する必要があり、償還日に償還できないと、デフォルトになります。
② 金利は会社の信用力や償還期間に左右される
社債を発行すると、社債引受人に利息を支払う必要があります。金利の決定は、社債発行体の信用力や償還期間等に左右されます。一般的に、発行体の信用力が低ければ、金利が高くなり、また、償還期間は長くなればなるほど、金利は高くなります。